《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その8）25年の洗脳が解けたきっかけは母の目？

宗教をクビになり、戻ろうと一年頑張ったけど結局戻れず、俺は戻るという事を 一旦諦めた。

さらに途方もない時間を、シカトされながら過ごす気にはなれんかった。

それでも、宗教には 友達もたくさんおる。そして何より、俺の大好きな両親が待ってる。

いつかは戻らなあかんなぁ、という感じで 集会にも行かず、沖縄での月日が流れていった。

25年の洗脳が解けたきっかけ

ばあちゃんの死

何年か経ったある日、親から母方のばあちゃんが亡くなったと連絡があった。

俺は福岡まで ばあちゃんのお葬式に駆けつけた。その時 大阪から来ていた両親に久々に会った。

葬式の会場で、俺は両親に個室に呼び出された。集会に行ってない事を、かなり責められた。責められたというか、母は半分ヒステリックになっていた。

俺が宗教のとある事で母に反論したら、急に訳の分からん事を俺にまくしたてて来た。

母の目

その時、俺は母親の目を見てた。

俺は基本 目を見て話をする、ホテルのお客さんと会話する時もそう。

なんて言うんやろう、俺は色んな人をホテルで接客してきてたから、相手の目と口元を見たら、相手の感情を読み解けるという事を、経験として知ってたんですよ。

• 怒ってはる人
• 悲しそうにしてる人
• 嬉しそうにしてはる人
• 怒ったフリして 怒ってない人

年間1万人をホテルで接客して、全国の色んなお客さんの目を見てきた。目と口を見たら、相手の色んな事が分かった。

だからこの時も、怒ってる母親の感情を 読み取ろうとした。

ほんまに はっきり言うと、俺その時 母親の目が「気持ち悪い」と思ってしまった！

俺の目の前にいる 大好きな母親は、怒っていた。それなのに目の奥が 読み取られない目をしてた。

それが気持ち悪かった
すごく気持ち悪かった

横で母親の話しを聞いていた親父は、そんな目をしてなかった。だけど ただ 黙って聞いていた。

洗脳が解けかけていた

俺はたぶん、集会に何年も行かなくなって、この時 洗脳が解けかかってたんやと思う。

母親が 母親じゃなかった。反論してきた母の目が気持ち悪かった。母の反論が 反論じゃなかった。

あれだけいつも冷静で、いつも俺を褒めたり叱ったりしてくれていた母やったのに、その時 死ぬほどショックやった。

過去の記憶

俺は過去に、同じ目を見たのを思い出した。

俺は宗教をクビになる裁判の時、4人の偉い人の前で とある事を告発した。クビになる前に、ある事を正したいと思い、偉い人の一人のことを告発した。

その人が、絶対に許されへん事をしていたからだ。

その時、その人が 俺に同じ目をしていた。気持ち悪いと思った。

その何年か後に、母親が同じ目をするとは思わんかった。

俺は ばあちゃんの葬式の日、母親の目を見て 何かを察した。死んだばあちゃんが、最後に教えてくれたのかもしれん。

• 俺の親って 洗脳されてるんちゃうか？
• 俺は今まで 洗脳されてたんちゃうか？

そう思った。

エホバの証人について調べる

そこから俺は、自分の宗教の事を 徹底的に調べた。今はググれば何でも分かる時代、本もたくさん読んで調べた。

• なぜ、今まで調べようとしなかったのか？

誰もが思う疑問だと思うが、エホバの証人の事を悪く言ってるサイトを見たり本を見たりする事は、神への反逆だと教えられていた。

エホバの証人の事を悪く言う人たちは、背教者と呼ばれていた。罪を犯して排斥になる人より悪とされていた。

そういう人たちが書いた文章を読むと言う事は、永遠の死を意味していた。排斥されるより悪い事。

だけど、もう関係なかった。
自分で調べてみようと思った。

洗脳されてる？まさか！！

俺が学んできた宗教は 、「エホバの証人」だけが真の宗教、それ以外の 世の中の全ての宗教は偽りだ。世の中の人たちは その事に気がついていない。だからこそ布教活動をする。

そう 教えられてきた。
俺もそう信じていた。生まれた時から そう教えられてきてたから。

だけど自分の宗教を徹底的に調べたら、洗脳されてた事に初めて気がついた。

毎日読む本、週3回の集会、年3回の大会、すべてが洗脳プログラムやった。目からウロコやった。

全ての事実を知った時、俺は1か月間 抜け殻になった。初めは受け入れられへんかった。それくらいショックやった。

そしてその時、25年間の洗脳が やっと解けた。

その後両親とは？

俺は葬式の日以来、両親と会ってなかったけど、今から3年前 俺から親に電話をした。

母が電話に出て、相手が俺やと分かった時 母は明らかに動揺していた。すぐに親父に電話を変わった。1分ほど用件を言って電話を切った。

翌日親父からメールが来た。

宗教の教えが変わった、今後は親子と言えども 一切の連絡を取れない、と。
俺が宗教に戻らない限りは、と。

俺はその日 両親を失った。

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• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その1）父親はメチャおもしろい人だった！
• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その2） 褒め上手な母親に育てられて
• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その3） 私の両親がエホバの証人を始めたのはなぜ？
• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その4） エホバの証人を25歳の時排斥された理由と沖縄へ引っ越した理由！
• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その5） 沖縄に引っ越したのに仕事も家も見つからない！
• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その6） 排斥された人がエホバの証人に復帰するための条件とは
• 《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』（その7） 復帰できないという絶望の中で

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