沖縄に来て一年が過ぎ、だいぶん沖縄にも慣れてきた頃、俺は宗教に戻ろうとしたけど結局 あかんかった。
→《実話》『私、カルト宗教をクビになりまして』(その6) 排斥された人がエホバの証人に復帰するための条件とは
だから俺は、戻るという事を 一旦諦めた。
ていうか もう正直、集会に行く力が残ってなかった。それほど 週三回、シカトされに行く事は心を病んだ。
復帰できない絶望の中で
俺は元々 寂しがりやん。
常に周りに誰かおったから、これから いつ解けるか分からん期間まで、1人で生きていくとか 無理やった。
それにクビになって思ったのが、世の中 良い人がめちゃ多いやん!て事。俺は世の中の人たちは、本当に悪い人達ばかりだと教えられていた。
それなのに、悪いことをしたらその人達の中に放り出された。そして 皮肉な事に、その人たちは めちゃ温かかった。
ホテルの同僚、もうみんな 最高に大好きやった。世の中全然、捨てたもんじゃないやん!と思った。
俺 色んな人と友達になりたい!
もっともっと 全国に友達を作りたい!
そう思った。今までできなかった事を、取り返したかった。
だけど 今の俺、職場以外に 友達はおらん。そしてここは 沖縄、それは 絶対に不可能に思えた。
友達を増やしたい
そんな俺の仕事は、チェックインが終わったお客様を部屋まで案内するベルボーイ。
もちろんホテル未経験者。
経験年数0年。
ど素人やったんやけど、ある事が めちゃくちゃ得意である事に、俺はふと 気づいたんですよ。
お客様のために
子供の時から、毎日のように 親に連れられ家々をまわってたやん。関心が全くない人に、どうやって話せば聞いてもらえるか、小さい時から 訓練されてたやん。
それがホテルのお客さんの場合、ワクワクしながら自分からホテルに来はる。
ホテルマンの俺がおもろい事話すと、笑ってくれるし 向こうから色々質問してくれる。
「お兄さん、この近くでオススメのご飯屋さんありますか?」
「沖縄初めてなんですけど、どこ行ったらいいですか??
「明日 天気になりますかね?」
親切に教えてあげたら、みんなすごく喜んでくれた。布教活動の時みたいに、忙しいので 結構です!とか冷たく言われる事ない。
「このホテルでオススメのレストラン?
ここよりおすすめのご飯屋さん この近くにありますよ!」
とか言うと、もう なんだ このホテルマンは!?となって、するりと心を開いて笑顔になってくれる。
お客さんの るるぶの本に、おすすめの場所を書き込んで 色々教えてあげた。仕事をしながら、人に喜んでもらえるというのが、俺 それはそれは めちゃくちゃ嬉しかった!
俺 もしかしてこの仕事 すんげー向いてません?俺 もしかして 必要とされてません?
人に喜ばれるという経験
友達になってほしい、また来るので 連絡先を教えてほしい、そう言ってくれるお客さんが、びっくりするほど 増えていった。
あっという間に全国に友達ができた。半年とか1年、中には毎月沖縄に遊びに来る人もいた。
その度にご飯行ったり、一緒に泳ぎに行ったり、逆に俺が旅行行けば、お客さんの家に泊めてもらったりした。
たぶんそんな事してるホテルマン、沖縄で 俺だけやったやろう。
全国のお土産は、ほとんど誰かにもらって食べた事ある。気がつけば 毎週誰かが、沖縄まで遊びに来てくれていた。
そんなホテルマンの俺は、めちゃくちゃ めちゃくちゃお客さんにモテた!
もう一度言います。
めちゃくちゃ モテた!
て事にしとこう。
続きは